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犬猫のマイクロチップ装着 義務化への動き

 四月末にこのような見出しの記事が新聞に出てました。
「犬猫へのチップ装着を義務化へ 自民議連が法改正骨子案まとめる」
 自民党どうぶつ愛護議員連盟のプロジェクトチームが、迷い保護された犬や猫の殺処分を減らすため、飼い主を特定する個体識別用マイクロチップの装着を義務付ける動物愛護管理法改正案の骨子案をまとめて、議員立法での早期の国会提出に向け、公明党や野党に賛同を呼び掛ける。との内容でした。今後、マイクロチップを装着しなければいけない日がくるのかもなあという事です。
 このマイクロチップとは何かについては、以前コラムでも話しましたが、迷子になった時に役にたつものです。
直径約2mm・長さ約12mmの円筒形のガラスのカプセルの中には、その仔だけを識別するための番号が書かれたデータがあり、アンテナの役割を果たすコイル等が収めてあります。
 専用のリーダーという器具を使って番号を読み取ることで、日本獣医師会に確認をすると、その子の名前や飼い主さんの情報がわかるという仕組みになってます。

〇メリットとしては
 1.迷子さがしが簡単に、誰かに保護されて動物病院や保健所に連れていかれれば、その時点で帰ることができます。
 2.盗難の抑制。たとえば、盗難にあったとして、その子が他の人に売られたとしても、動物病院に行った時などに発見できます。
 3.勝手な捨て犬捨て猫の防止 捕獲されて確認をされれば、飼主がわかるため勝手に捨てにくくなります。

しかしデメリットも無いわけではありません。

〇デメリットとしては
 1.飼い主の金銭的負担があります。施術料と登録料で数千円がかかります。ただし皆がしないといけないものとなった時は、安くなっていくかもしれません。
 2.ペットの身体的負担は太い針を打たれるので、とても痛いです。そのため去勢避妊といった麻酔をかけたときや、局所麻酔をかけて打ちます。他にマイクロチップが原因で病気になったりという事は、今のところ日本で事故や副作用の例はないですが、海外では腫瘍の報告も二件ありますが、何千万分の一の確率になります。それでも義務化されている国が増えているというところから、安全性の高さが分ると思います。
 3.マイクロチップの読み取りを行う必要があります。その犬がしかるべき施設に行き、リーダーで個体識別番号を読み取られない限り、戻れる保障はありません。ただし、保護した人が飼おうとした場合、一度が動物病院に行くでしょうから、大丈夫と思います。他には折角マイクロチップを入れたのに飼い主さんが 登録するのを忘れてしまって意味が無いことになったりすることも少なくありません。マイクロチップの中に迷子札が入っていて住所や名前がそのまま入っていると勘違いしている方もいらっしゃいます。マイクロチップに記録されているのは数字だけですので、必ず登録を忘れないようにして下さい。
 4.各国で規格が統一されていない。ヨーロッパ、オセアニア、日本を含むアジアの一部ではISO国際規格という同じ方式を採用していますが、アメリカでは複数の方式があり、それらのチップはこちらのリーダーでは読めませんし、あちらのリーダーではこちらのチップは読めません。そのためアメリカなどに引っ越すときには注意が必要になります。
 5.MRI検査ではマイクロチップの周辺の画像が乱れるために、摘出しないといけなかったりすることもありえますが、その周辺でなければ身体に悪影響があるわけではないので、問題はありません。

 というように、メリット・デメリットをご紹介してみました、今はまだ義務化されてはいないので、必要があると思った飼い主さんだけがつけることになります。
 ただ、実際にマイクロチップのおかげで安否を知ることができた飼い主さんを知ってしまうと、おすすめしたくなる気持ちはあります。ご検討の際はお近くの動物病院へご相談下さい。