4月になると各市町村で狂犬病の集合接種が始まります。
公園や公民館の駐車場などでわんちゃんが集まって騒いでいたりするおなじみの光景です。
あんなに泣き叫ぶほど嫌なのに、注射するのは可哀想と思われるかもしれませんが、わんちゃん本人のためというのももちろんですが、飼い主 その地区の住人、まわりまわって日本国民の為に大切な注射です。
狂犬病は人を含むすべての哺乳類が感染する病気です。人は感染後にワクチンを接種することで発症を防げますが、発症してしまうと治療法はなく、ほぼ100%死亡する、恐ろしい病気です。
しかし、日本での狂犬病は1957 年以降発生していません。日本には現在狂犬病は存在しないと言われたりします。
その最大の要因は1950年に「狂犬病予防法」が制定され、飼い犬の登録と狂犬病予防注射が義務化されて、わんちゃんへのワクチン接種を徹底してきたことと、島国のため外国から病気が入ってくるのを防ぎやすいことだと言われます。
ですが、島国だから狂犬病はもう気にすることない、予防注射など必要ないと思うのは早合点です。
日本と同様、50年以上狂犬病が発生していなかった台湾では、2013年に野生動物の間で狂犬病の流行が確認されました。2014年7月7日までに、台湾国内の広大な地域にわたって、イタチアナグマ、ジャコウネズミ、犬1頭に狂犬病の発生が確認されたのです。更にウイルスの遺伝子情報から、何十年も前から台湾の野生動物の間で、流行があったことが示唆されました。日本の野生動物が狂犬病にかかってないとは言い切れず、狸やネズミなどの野生動物が近くにいる家の犬から狂犬病に感染していく可能性はわずかですがあります。
他にも他国の貨物船などに乗っている犬が逃げ出して、日本に上陸する危険性もあるのです。
決して、いつまでも狂犬病から安全安心な国と言い切れないのかもしれません。だからこそ、今も予防接種を受けるのは、社会的に大切なことなのです。
たしかに予防接種にはアレルギーによるショックという副作用もありますから、予防注射の前後には激しい運動は避け、健康状態に変化がないかよく確認した上で打つようにしましょう。
特に病気に罹っている犬や老犬は、かかりつけの動物病院で健康状態を確認してから打つようにしていただければ安心です。
今年も予防接種をよろしくお願いします。
文責:梶太郎