Will動物病院グループ

飼い主の達人

仕事をしていると 、「エ~」と言うことが時々あります。
ガックリくる「エ~」は、生きてる不思議としか思えない状態で動物が連れてこられた時。
逆に驚きの「エ~」は、『1日の飲水量が幾らで、尿量が幾らか』を当然のように話す飼い主さんを診察した時です。これまで、二組いらっしゃいました。飲水量は計れても、尿量はなぜ分かるんですか?と質問したところ答えは同じでした。
ゴールデンを飼っていらっしゃる方は、
『ベランダにシーツを広げて置いて、排尿後に計っています。』
柴犬を飼っていらっしゃる方は、
『ペットシーツにするので、毎回計っている。』
なるほど。なるほど。こうなると感心するしかありません。
しかし、世の中にはもっと凄い飼い主さんが居るのです。それは飲水量に目標値を設定して、毎日この量をクリアしている飼い主さんです。
診察室では、よく数値を飼い主さんに設定する事があります。心臓病なら安静時の心拍数は幾ら以下とか、ダイエット中であれば、体重あたりのカロリーはとかです。一番多いのが、泌尿器系の病気の時の飲水量です。こちらとしては、体重当たりこれ以上飲んでくれたら、有り難いという位の意味合いで話すのですが、真面目な飼い主さんはキッチリこの数字をクリアしてくれます。
その手法も様々で、散歩に行く回数を増やして排尿回数と飲水量を増やす方。薄味を付けて、水を美味しく飲んでもらう努力をしている方。食事をする前に、飲水する事をトレーニングして躾た飼い主さん。一番笑ってしまったのは、おやつとして与えていたビスケットに毎日少しずつ水を染み込ませ、最終的にはふやけてビスケットかどうかわからないくらいにして、飲水量を確保している飼い主さんです。皆さんは私にとって飼い主の達人です。

文責 千葉 剛