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多剤耐性菌は何処で産まれているのか?

抗生物質が効かない細菌の事を耐性菌と言います。耐性菌のなかでも、沢山の抗生物質が効かない細菌を『多剤耐性菌』と呼び、マスコミでよく目にする『バンコマイシン耐性菌』,『メチシリン耐性菌(MRSA)』などがあります。耐性菌の主役は、ブドウ球菌や緑膿菌で何処にでもいる細菌です。

多剤耐性菌などと言うと非常に怖い細菌のように思われがちですが、一般人(一般動物)にとってはそれほど恐怖の対象ではありません。食欲があり、運動機能が落ちていなければです。ところが、寝たきりで栄養チューブで生命を維持している病態にたいしては牙をむいてきます。
私達は臨床家ですので、病原菌の種類は特に必要ありません。問題はどの抗生物質が作用するか、要は何なら効くかです。最近、多剤耐性菌に効果のある抗生物質が限定されてきました。
商品名で言うと、『バイトリル』,『コンベニア』,『クロマイ』先述の2種類は、動物病院のみで使用される薬。クロマイは古典的過ぎて、おそらく人の病院では既に廃盤になった薬です。多剤耐性菌は何処で産まれているのか? 善悪ではなく、 人の病院の苦悩が見えます。

文責 千葉 剛