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メラノーマは怖い癌

獣医師に成り立ての頃、ヨークシャテリアの頭部にある1cm程のMass摘出手術を行いました。その頃は現場でFNA(細胞診)を行うことはなく、病理検査も人間の検査所でした。診断は「悪性黒色肉腫」。抜糸、局所再発有無の確認と何回かの通院。しばらく通院が途絶えていた彼のヨークシャテリアが発咳を主訴に来院。レントゲンを撮影した結果播種状の肺メタを確認。手術から8ヶ月が過ぎていました。余命は1ヶ月もありませんでした。

メラノーマとの付き合いの始まりです。扁平上皮癌の再発であれば、CTできちんと手術範囲の確認をして再手術を実施すれば、術後の楽観視もあるのですが、メラノーマは増殖スピードと組織浸潤性が著しく、最初に大胆な外科を行わないと最悪の経過をとります。

今日、ビーグル(♂)7歳が口腔内出血の主訴で来院しました。FNAでメラノーマを確認。簡単にメラノーマを説明後、病理検査用に採材しますと話し、そのまま広範囲の切除をしてしまいました。飼主さん、すみません。

手術するかどうかだとか、病理検査の結果を見てから検討するとかの腫瘍ではないのです。

切除した病変部位の病理検査の結果は『メラノーマ』マージンは充分との記載、他の腫瘍であれば有難い検査結果も、この腫瘍だけは安心できない私です。

文責 千葉 剛

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