最近、マダニに関連したニュースを目にすることがとても多くなりました。
SFTS(重症熱性血小板減少症候群)というウイルスの致死率は20%以上で、日本ではこの4年で50人以上の方が亡くなっています。
マダニは他にも日本紅斑熱、ダニ媒介脳炎、ライム病、回帰熱など様々な怖い病気を媒介します。
今年に入り、マダニから直接人間への感染だけでなく、猫や犬を介して人への感染も続々と報告されています。
実際に診察をしていて、以前よりもマダニをつけてくるわんちゃんが増えましたし、猫でもマダニをつけてくる子を見かけるようになりました。
マダニは普通、イノシシやシカなど野生動物の血を吸うため山の中に生息しています。
マダニが身近になっている背景としては、タヌキやイノシシなどの野生動物が野山から都市部へ下りてきていること、アライグマ、ハクビシンなどの外来種が都市部で増えていることが一因と考えられています。
野生動物の進出とともにマダニの生息域が拡大し、ペットの犬、猫にまでマダニがつくようになった結果、様々なマダニ感染症が人、犬、猫で急増しているのです。
人間の都合で自然を破壊し、野生動物の生活場所を奪ってしまったツケが回ってきているのかもしれません。
もちろんマダニに対する予防、対策はとても大事ですが、自然の脅威と距離を保って共存するということも重要だと思います。
人間もペットも自然と全く触れ合わずに生きて行くことはできません。自然と付き合うということはリスクも伴うことであるということをしっかりと認知した上でペットとの生活を楽しんでほしいと思います。
マダニの正しい予防法については是非一度病院にご相談ください。
文責:山崎 聡