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自己防衛機能が暴走する?

生体を守り、病気から回復させてくれるシステムとして、『免疫系』と呼ばれメカニズムがあります。
自己と他者を区別して、他者=異物を攻撃する機構です。ミミズレベルから有りますから、相当太古から生物に備わっていたのでしょう。
これが無いと大変です。病原菌には、やられ放題生物の姿は、今とは相当違うものになっていたでしょう。
このシステムには大きな問題があります。誤認して、本来は自己の部位なのに攻撃をしてくることがあるのです。免疫病です、人ではリュウマチや膠原病、動物病院では免疫介在性貧血や免疫介在性血小板減少症です。
原始的な時代に、獲得した機能だからしょうがないと言ってしまえばそれまでなのですが、治療する段階になると大変です。生命の本質と戦うわけです。
ステロイドや、免疫抑制剤を使うのが第一選択になるのですが、『切れ』が悪くスパッと効くことが稀で、しばし使って結果どうかと言った感じです。
免疫介在性貧血には、特効薬『ガンマーガード』があります。人の血液から、生成したγーグロブリン製剤で、非常に高価な薬です。高価と言っても、切れの悪い薬を何日も使ってウダウダ治療するより、きちっと使ってきちっと治した方が良いはずなのですが、人の血液と言うところで第一選択に出来ない自分がいます。

文責 千葉 剛